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通勤時間を買う引っ越しは得?家賃と費用の損益分岐点

都心の高級マンションに置かれた鍵と通勤定期入れ 移動

最終確認日:2026年8月25日

家賃を上げて職場の近くに住む。これは、このサイトで扱う中でいちばん大きな買い物です。金額も大きく、浮く時間も桁違いに長い。

結論を先に書きます。月3万円の家賃アップで片道30分縮められるなら、時給1,690円の人にとっては買いです。ただし条件がひとつあり、それを外すと計算が成立しません。

通勤時間は年間で何時間か

片道の通勤時間に、往復2倍と年間出勤日数240日を掛けます。

片道1日年間10年で
15分30分120時間1,200時間
30分1時間240時間2,400時間
45分1時間30分360時間3,600時間
60分2時間480時間4,800時間
年間出勤日数240日で計算。在宅勤務がある人は、その分を引いてください。

片道1時間の人は、年間480時間を通勤に使っています。丸20日分です。10年なら4,800時間で、これは200日に相当します。

この数字を見てから家賃の話をすると、判断が変わります。


30分近づくと、家賃はいくら上がるか

東京23区の家賃相場は、2026年時点で1Kが平均11.5万円、1LDKが平均19.4万円です。ただし平均はあまり役に立ちません。大事なのはどことどこを比べるかです。

エリア1Kの相場
山手線の内側10〜12万円
山手線の外側・主要沿線6〜8万円
郊外5〜6万円台
23区内で最も安いのは江戸川区の8.5万円、最も高いのは港区の14.8万円。同じ23区でも約1.7倍、月6.3万円の開きがあります。

郊外(5万円台)から山手線外側の主要沿線(7万円台)に移ると、家賃差は月2万円ほど。ここで片道30分縮まるなら、計算してみる価値があります。

もうひとつ見逃せないのが、同じ通勤30分圏内でも沿線を変えるだけで月3万円以上の差が出ることです。時間を買わずに家賃だけ下げられる余地が、まだ残っている可能性があります。


1時間あたりの値段を出す

片道30分の短縮で、年間240時間が浮きます。家賃差が月3万円なら年36万円。

360,000円 ÷ 240時間 = 1,500円

時給1,690円の人にとっては買いです。ただし、これは引っ越し費用を無視した数字でした。

引っ越し費用を足すと

敷金・礼金・仲介手数料・引っ越し業者・家具の買い足しを合わせると、30万円から50万円はかかります。仮に40万円として、4年住むなら年10万円の上乗せです。

(360,000円 + 100,000円)÷ 240時間 = 約1,917円

時給1,690円では届きません。4年住むつもりなら見送り、8年住むつもりなら買いということになります。8年なら上乗せが年5万円に薄まり、1時間あたり1,708円まで下がるからです。

これが冒頭に書いた「条件」です。住む年数が長いほど有利になる。短期で引っ越す前提なら、この投資は回収できません。

条件1時間あたり時給1,690円なら
家賃+3万・30分短縮・4年約1,917円見送り
家賃+3万・30分短縮・8年約1,708円ほぼ互角
家賃+2万・30分短縮・8年約1,208円買い
家賃+3万・15分短縮・8年約3,417円見送り
引っ越し費用40万円を居住年数で割って加算。往復・年240日で計算しています。

表の4行目に注目してください。15分の短縮では、月3万円は出せません。中途半端に近づくくらいなら、いまの家に住み続けたほうが得です。


計算に表れない3つの効果

時給そのものが上がる

これは他の記事にはない、通勤だけの特徴です。

自分の時給は「手取り年収 ÷(労働時間+通勤時間)」で出します。通勤時間が減れば分母が小さくなるので、時給自体が上がります

手取り390万円・労働2,000時間・通勤310時間の人なら時給1,688円。通勤を155時間に半減させると、時給は1,810円になります。120円の上昇です。

買い物や家事の時短と違い、通勤の短縮はあなたの時間の単価そのものを引き上げます

満員電車の疲労は時間に換算されない

座って本を読める30分と、立ちっぱなしで身動きが取れない30分は、同じ30分ではありません。後者は帰宅後の時間の質まで下げます。

金額に直せないので計算には入れていませんが、混雑する路線から外れることの価値は、時間の数字より大きい可能性があります。始発駅を選ぶという手もあり、これは時間を伸ばして座席を買う判断です。

在宅勤務があると前提が崩れる

週2日在宅なら、出勤日数は240日ではなく144日。浮く時間は年240時間から144時間に減り、1時間あたりは1,917円から3,194円へ跳ね上がります。

逆に言えば、在宅勤務が増えるほど「郊外の広い家」が有利になります。家にいる時間が長いなら、通勤を削るより部屋を広くするほうが理にかなっています。


家賃以外にも動く費用がある

ここまで家賃だけで計算してきましたが、住む場所が変われば他の支出も動きます。方向が逆のものが混ざっているので、両方見ておく必要があります。

  • 交通費が減る(会社負担なら関係なし)。定期代が会社から出ている人には効きません
  • 車が不要になることがある。駐車場代・保険・車検・ガソリンを合わせると、地域によっては月3万円を超えます。これだけで家賃アップ分が消える場合があります
  • 外食が増える。職場に近いと飲み会の参加率が上がり、帰り道に店が多いほど寄りやすくなります。ここは支出増の方向
  • 部屋が狭くなる。同じ家賃なら都心のほうが確実に狭い。在宅勤務のスペースが取れなくなることもあります

とくに2つ目は見落とされがちです。郊外で車を持っている人が、駅近に引っ越して車を手放せるなら、家賃が月3万円上がっても総支出はほとんど変わらないまま通勤時間だけが減ることになります。この場合の1時間あたりは、引っ越し費用の分だけ、つまり8年住むなら約208円まで下がります。

自分の場合はどうか。家賃だけでなく、住居まわりの支出をまとめて比べてください。


引っ越す前に試せること

40万円かけて引っ越す前に、お金をかけずに通勤時間を短くできないかを先に確認する価値があります。

  • 時差出勤にする。混雑を外すだけで、同じ距離でも体感時間と疲労がまるで違います。会社に制度があるなら費用ゼロです
  • 経路を見直す。乗換案内が最短で出す経路が、実際に最速とは限りません。乗換の階段移動や、始発駅まで戻って座る選択肢を含めて試してみてください
  • 沿線だけ変える。同じ通勤30分圏でも沿線によって月3万円の差が出ます。時間は変えずに家賃を下げられるなら、そちらが先です
  • 在宅勤務を交渉する。週1日増えるだけで、年間48日分の往復が消えます。片道1時間なら年96時間で、これは引っ越しの半分近い効果です

最後の項目は、費用ゼロで得られる効果としては最大です。引っ越しを検討する前に、まずここを当たるべきだと思います。


引っ越しを決めたあとには、荷造りと荷解きにもまとまった時間が必要です。作業を任せる費用対効果は、引っ越しのおまかせプランで何時間浮くかで計算しています。

まとめ

  • 片道1時間の通勤は年480時間。10年で200日分に相当する
  • 家賃+3万円で片道30分短縮、8年住むなら1時間あたり約1,708円
  • 引っ越し費用40万円は住む年数で割る。短期なら回収できない
  • 15分の短縮に月3万円は出せない。縮めるなら30分以上
  • 通勤の短縮だけは、あなたの時給そのものを上げる
  • 在宅勤務が週2日あるなら、この計算は成立しない

引っ越しを決める前に、まず自分の時間を時給換算するといくら?で自分の数字を出してください。この記事の表と見比べれば、答えは出ます。

※ 家賃相場は2026年8月25日時点で確認した東京23区および周辺エリアの目安です。物件の築年数・広さ・駅からの距離で大きく変わります。引っ越し費用は一般的な単身〜二人暮らしを想定した概算です。

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