最終確認日:2026年8月23日
食洗機は8万円します。手で洗えば0円です。この2つを並べて見せられたら、たいていの人は手洗いを選びます。私も長いあいだそうでした。
見方が変わったのは、8万円を「1時間あたりいくらか」に直したときです。計算すると約130円。この数字なら、手洗いを続ける理由のほうが説明しにくくなります。
時短サービスや家電が高く見えるのは、値段だけを見ているからです。買っているのは物ではなく時間なので、時間あたりの値段に直さないと高いか安いか判断できません。そのために必要なのが、自分の時給です。
この記事では自分の時給の出し方と、年収別の早見表を用意しました。このサイトの記事はすべて「1時間あたりいくらで時間が買えるか」を載せています。ここで出した数字と見比べれば、買うか買わないかはその場で決まります。
時給は「額面 ÷ 労働時間」では出ない
年収500万円、1日8時間で年間250日働いている人がいるとします。500万円 ÷ 2,000時間で時給2,500円。よく見る計算ですが、これは高く出すぎます。理由が2つあります。
ひとつは、500万円が手元に入らないことです。税金と社会保険料で2割前後は引かれます。時短サービスに払うのは手取りからなので、比べる相手も手取りでないと釣り合いません。
もうひとつは、通勤時間が抜けていることです。往復1時間半なら年間で約375時間。給料は出ませんが、仕事のために拘束されている時間には違いありません。ここを分母に入れないと、実際より時給が高く見えます。
この2つを直すと、こうなります。
手取り年収 ÷(実労働時間 + 通勤時間)= あなたの時給
さきほどの人で計算し直します。手取りは約390万円。労働2,000時間に通勤375時間を足して2,375時間。390万 ÷ 2,375 = 約1,640円です。最初の2,500円とは900円近く違います。
年収別の早見表
計算が面倒な方のために、代表的な年収で出しておきました。労働2,000時間、通勤往復1時間15分(年間約310時間)、扶養なしの会社員という前提です。
| 額面年収 | 手取りの目安 | あなたの時給 |
|---|---|---|
| 300万円 | 約240万円 | 約1,040円 |
| 400万円 | 約320万円 | 約1,390円 |
| 500万円 | 約390万円 | 約1,690円 |
| 600万円 | 約460万円 | 約1,990円 |
| 700万円 | 約530万円 | 約2,290円 |
| 800万円 | 約600万円 | 約2,600円 |
自分の年収が表にない場合は、手取り年収を2,300で割ってください。それでほぼ合います。手取り350万円なら約1,520円です。
残業が多い人、通勤が片道1時間を超える人は、分母が増えるぶん時給は下がります。ここで妙なことが起きます。長時間働いて自由な時間が少ない人ほど計算上の時給が低くなり、時短サービスが「割高」と判定されてしまうのです。
この矛盾に引っかかったら、次の「休日の1時間」の考え方を使ってください。残った時間が少ない人ほど、その1時間の価値は上がるはずです。
休日の1時間は、平日より高い
ここまでの時給は、平日の労働時間をもとにした数字です。ただ、時短サービスが浮かせてくれる時間の多くは休日や平日の夜にあります。洗濯物をたたむのも、買い物に行くのも、勤務時間中ではありません。
そして休日の1時間と勤務中の1時間は、同じ価値ではないはずです。私は休日のほうが高いと思っています。子どもが起きている時間は戻ってきませんし、疲れて何もできない夜の1時間も、代わりがききません。
厳密に数字にするのは難しいので、私は休日の時間は平日の1.5倍で見ています。時給1,690円の人なら、休日は2,500円ほど。土日に消えていく家事を減らすサービスは、この数字と比べます。
1.5倍という数字に根拠はありません。自分の感覚で1.2倍でも2倍でも構いません。大事なのは、休日の時間を平日と同じ値段で計算しないことです。同じにすると、休日を削るサービスをいつまでも「高い」と判断してしまいます。
給料をもらっていない人はどうするか
専業主婦・主夫の方や、育休中の方には給料がありません。時給を出しようがない、と思われるかもしれません。
この場合は2つのやり方があります。
- 働くとしたらいくらかで置く。近所のパート求人の時給を見れば、だいたいの相場が分かります。地域によりますが1,100円から1,300円あたりでしょうか。
- 払ってもいいと思う額で置く。「1時間自由になるなら1,000円払う」と感じるなら、それがあなたの時給です。
後者のほうが実用的だと思います。時給というのは本来、市場が決めた値段ではなく、自分がその時間をどれだけ大事に思っているかの表明だからです。世帯の収入で判断する必要もありません。
実際に当てはめてみる
時給が出たら、あとは比べるだけです。よくある3つで計算してみます。時給1,690円(年収500万円)の人を想定します。
食洗機 — 1時間あたり約130円
本体と工事で8万円、5年使うとします。手洗いに毎日25分かかっていたものが、食器を入れて回すだけの5分になれば、1日20分の短縮です。
20分 × 365日 = 年間約122時間。5年で610時間。8万円 ÷ 610時間 = 約131円。水道代は減り、電気代は増えるので、この2つはほぼ相殺されます。
時給1,690円に対して131円。12倍以上の差です。ここまで開くと、迷う理由がなくなります。判断を止めていたのは8万円という総額で、1時間あたりに直した瞬間に答えは変わりました。
ネットスーパー — 1時間あたり約330円
買い物に往復と店内で1時間、週2回行っているとします。年間104時間。配送料が1回330円なら、年間約34,000円です。
34,000円 ÷ 104時間 = 約330円。これも時給を大きく下回ります。
ただし買い物が気分転換になっている人や、実物を見て決めたい人には当てはまりません。時間が浮くことが必ず得だとは限らない、という話は最後にします。
宅配クリーニング — 1時間あたり約2,500円
保管付きのパックで、冬物10点を衣替えごと預けた場合。店舗に出せば11,800円ほどのところ、保管付き宅配は16,808円で、差額は5,008円。
浮くのは店との往復28分と、春と秋の衣替え作業90分で、合わせて約2時間。5,008円 ÷ 2時間 = 約2,500円です。
ここで初めて「見送り」が出ました。時給1,690円の人には割高です。一方、年収800万円で時給2,600円の人なら買いになります。同じサービスでも人によって答えが変わる。それを数字で見せてくれるのが時給換算です。
| 買うもの | 1時間あたり | 時給1,690円 (年収500万) | 時給2,600円 (年収800万) |
|---|---|---|---|
| 食洗機 | 約131円 | 買い | 買い |
| ネットスーパー | 約330円 | 買い | 買い |
| 宅配クリーニング | 約2,500円 | 見送り | 買い |
浮いた時間の使い道を決めてから買う
ここまで書いておいて逆のことを言いますが、時給換算で「買い」と出ても、必ず得をするわけではありません。
浮いた1時間をスマホを見て終わったなら、その1時間は1,690円の価値を生んでいません。時間を買うというのは、時間そのものを買う行為ではなく、その時間で何をするかを買う行為です。
だから私は、時短サービスを検討するときに使い道を先に決めるようにしています。食洗機で浮く20分を何に充てるのか。夕食後に子どもと過ごすのか、早く寝るのか。それが言えないうちは、まだ買いどきではないと考えています。
使い道が思いつかないなら、そのサービスはまだ必要ないのかもしれません。そこは正直に判断したほうがいいと思います。
同じ基準で通院時間を計算すると、オンライン診療の追加費用は1時間あたり1,000円未満になるケースがあります。医療上の判断を優先したうえでの比較は、オンライン診療で通院時間を買うで確認できます。
通信講座も同じ方法で判断できます。学習時間ではなく周辺作業が何時間減るかを分けた計算は、資格の通信講座は独学より何時間短縮できるかで確認できます。
まとめ
- 自分の時給は 手取り年収 ÷(労働時間 + 通勤時間)。手取り年収を2,300で割ればほぼ出ます
- 休日に浮く時間は、平日の1.5倍で見積もる
- 給料がない人は「1時間自由になるなら払ってもいい額」を自分の時給にする
- サービスの値段を「1時間あたりいくら」に直して、自分の時給と比べる
- 浮いた時間の使い道を決めてから買う
この記事で出した自分の時給は、メモしておいてください。当サイトの記事にはすべて「1時間あたりいくらで時間が買えるか」を載せています。あなたの時給より安ければ買い、高ければ見送り。それだけで判断できます。
※ 手取り額および料金の目安は2026年8月23日時点で確認したものです。制度改定やサービスの料金改定により変わることがあります。


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